
2025年9月2日、第3回ライター育成講座が開催されました。引き続き講師をつとめてくださったのは、サイエンスライターで元Newton編集記者の土屋健氏。第3回目のテーマは、
「3000文字に至る3時間」
今回も、新たな気づきと学びの連続となりました。
◯素読み研修
前回の講座では、他の受講生が執筆した原稿に赤を入れる「素読み」が課題として出されました。
「微に入り細を穿つ。遠慮はなしで。自己嫌悪に陥るくらいの意識で指摘しましょう」
と土屋氏。なかには、先輩ライターからの素読みを受けて涙する新人ライターもいるのだとか。人間関係に亀裂が生じる素読み……とはいえ、これもライターとしての成長には欠かせないステップです。
他人の原稿を客観視して赤を入れることで、自分の原稿を俯瞰する推敲力が身につきます。講座では、素読みした原稿を執筆者本人に返却し、対面でフィードバックする時間が設けられました。
一度対面でフィードバックをしておくことで、メーリングリスト上でのやりとりになった時など、「○○さんはこんな表情で指摘してくれているのだろうな」と想像ができます。テキストでの指摘は冷たい印象を受けることもありますが、相手の表情や声音を思い浮かべれば、厳しいフィードバックも前向きに受け止められるでしょう。
今回の素読み研修は、取っ組み合いのケンカに発展することなく、互いの原稿を称えて磨き合うすばらしい時間となりました。
◯3000文字記事のつくり方
これまで1000文字記事の制作について学んできましたが、今回の講座では、3000文字記事のつくり方について教えていただきました。
1000文字記事と同様、構成は起承結を意識。記事本文は、改行を入れて「余白」をつくる。適度に繰り返しや比喩を入れるなど、長文ならではのポイントを押さえる必要があります。特に、
「セリフは切り札」
という教えが心に残りました。取材記事を執筆していると、ついセリフを散りばめたくなります。しかし、ここぞというタイミングで格好良いセリフを入れることで、よりインタビュイーの魅力が際立つのです。
さらに、記事を見開きでどう見せるかをイメージするためには、「サムネイル制作」も重要。視覚的なアプローチが大切であることを知り、ジャーナルの完成がより待ち遠しくなりました。
◯3000文字記事企画書の書き方
3000文字記事の企画書は、1000文字記事と同様に「誰が見ても記事が書ける」ことが求められます。
立案した企画内容を、必ずしも自分で執筆できるとは限りません。自分以外のライターが企画書を見ても、すぐに理解できる明確な言葉や表現が求められます。誰が見ても理解できる企画書が書ければ、誰が読んでもわかりやすい記事だって書けるはず!記事制作において、すべての工程がつながっていることをあらためて感じた瞬間でした。
なお、企画内容が専門的すぎたり旬すぎたりすると、ジャーナルの発行時に情勢が変わって売れ行きに影響することもあるのだそうです。最高の記事が完成したとしても、企画次第ではおそろしい事態を招いてしまう可能性もあるとは……。マニアックすぎる企画にならないよう注意しなければなりません。
調べるほどに専門的な情報が飛び交う、海洋文化の世界。誰にでもわかりやすく、なおかつ海洋文化の魅力を広く伝えられる企画の立案に、腕が鳴ります。(あまりの難しさに、途中で何度も気絶しかけました)
次回は、いよいよ最後の講座です。いったいどのような企画が飛び出すのか、そして長時間に及ぶという企画会議がどこまで白熱するのか、楽しみで仕方がありません。
ライター育成講座・受講生 H.S.