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良い原稿はラブレター!? 〜第2回ライター育成講座レポート〜

2025年8月19日、第2回ライター育成講座が開催されました。第1回に引き続き、講師はサイエンスライターの土屋健先生。ここでは、今回の講座の概要と、受講後の感想をお伝えします。

擬似企画会議

まず、各受講生が前回の講座で出された課題を配布されるところから始まりました。その課題とは、受講生を紹介する記事の企画書を作成すること。

前回自分の左隣に座っていた受講生と、さらにもう一人の参加者を任意に選び、合計2名を紹介する企画書です。

各受講生は、2分以内に自身の企画内容を発表し、その後ランダムに指名された受講生が発表者へ質問。最後に土屋先生が全体コメントを行う、という流れでした。

発表された企画書の内容はそれぞれに個性があり、同じ仲間の「受講生を紹介する記事」であるのにも関わらず、切り口も内容も本当にさまざまで、とても興味深かったです。

先生からのコメントも一つ一つが「なるほど」と深くうなずくことばかりでした。素人の自分の企画について、プロのライターの方がコメントして下さる、というとても貴重な経験でした。

インタビュー取材実践練習

次は、執筆に向けたインタビュー取材の実践練習。各受講生が「取材する側」と「取材される側」に分かれ、15分ずつのインタビュー取材を行いました。

取材の進め方ついては事前に講義がありましたが、実際にインタビューを行ってみると、想定した方向に話が展開しなかったり、予想外の話題が出てきたり、「思い通りにはならない」ことを実感しました。

一方、自分が取材される側になった時には、相手の問いかけに対して適切な回答をすることは、意外と難しいことだとも感じました。質問や話題の振り方など、今後いろいろと工夫する必要がありそうです。

1000文字記事の書き方と素読み

次に、実際の記事執筆に関する講義を受けました。例えば、ライターが書く文章は、専門家が書く論文とは、基本的に求められていることが異なることを学びました。

専門家による論文は、専門的知識を有するもの同士の限られた人たちに読まれることを想定しています。

一方、ライターは、そのトピックについて興味のない大多数の人たちにも届けることを意識しなければなりません。そのためには、比喩やオノマトペ(キラキラなどの擬音語、擬態語などの表現)を使ったり、改行でリズム感を出したり、短文にすることなどが有効であることを学びました。

そして最後に、とても印象的な格言を教えて頂きました。それは、

「良い原稿はラブレター」

ラブレターは、ある特定の個人へ宛てた文章。一方、ライターが書く原稿は、広く世間一般に向けて書く文章。一見すると、全く異なるものに感じますが、土屋先生の説明を聞いて納得しました。

何度も推敲すること、誤ったことを書かないこと、そして(興味本位で)他人が読んでも面白いこと。なるほど、確かにラブレターです。

「この人に届くように」という読者が明確であること。たった一人にでもグッと刺さる文章こそが、多くの人の関心を集め、時には共感を呼ぶのかもしれません。

ようやく自分たちに要求されていることは何か、ライターが書く良い文章とはどういうものなのか、少しずつですが分かってきた気がします。全4回の講座のうち2回が終わり、ライターへの道のりの厳しさを実感しつつも、なんとか最後まで頑張らなければ、と決意を新たにした講座でした。 

           

 ライター育成講座・受講生R. O.