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日本海洋文化総合研究所

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石狩灯台を訪れて──取材体験記その4

※本記事は、ジャーナル掲載記事の背景を紹介する取材記録です。

2025年10月中旬、私は石狩灯台を訪れた。札幌市内から車で50分ほどと比較的都心部から近い場所にありながら、今回が初めての訪問であった。

豊かな自然に囲まれた灯台

取材日は晴天に恵まれ、澄んだ青空を背景に石狩灯台の紅白模様がひときわ映えていた。周辺には遊歩道が整備されており、気候の良い季節には散策に最適な場所である。

遊歩道入口付近に位置する「はまなすの丘公園ヴィジターセンター」では、周辺の自然や歴史について学ぶことができるほか、石狩の特産品やアイスクリームも販売されている。ヴィジターセンターの2階は眺めが良く、石狩湾を一望することができる。周辺にはハマナスが自生しており、6月頃の最盛期にはより美しい景色が楽しめるようである。

かつて鮭漁で栄えた歴史を持つ石狩エリアだが、豊かな自然もまた地域の大きな魅力である。石狩灯台を起点にこのエリアを巡ることで、北海道の自然と歴史が凝縮された魅力を体感できると感じた。

(青い空に映える石狩灯台)
(ヴィジターセンターに展示されている「旧石狩燈台燈器 6等閃光レンズ」)

「いしかり砂丘の風資料館」 – 驚くべき縄文人の知恵

石狩灯台に関する取材のため、「いしかり砂丘の風資料館」も訪問した。同館は石狩灯台から約1.7kmの距離に位置する。こじんまりとした建物ではあるが、1階・2階にわたる展示には、規模からは想像できないほど多くの貴重な資料が並んでいた。

特に印象的であったのは、2階に展示されている「石狩紅葉山49号遺跡」に関する資料である。縄文時代の鮭漁に使用されたと考えられる仕掛けは、当時の人々の知恵と工夫を強く感じさせるものであった。

学芸員の方々も大変熱心で、常設展示のほかにも定期的にイベントを開催している。石狩の歴史・文化・自然を丁寧に伝えようとする地域の誇りが感じられる資料館であった。

石狩灯台お兄さん ― 灯台を軸とした地域活性化の動き

「石狩灯台お兄さん」にも話を伺った。その独特の見た目から、近年SNSやメディアで注目を集めている存在である。

その正体は、石狩市役所職員の高木順平氏である。プライベートの時間に、高木氏自身が“依り代”となり、石狩灯台の妖精が一時的に宿るという設定で活動しているという。

顔面の塗装など大変な面もあるようだが、「みんなに喜んでもらいたい」という思いで活動しているとのことであった。

全国的に人気を博している石狩灯台お兄さんであるが、現在では他地域にも「灯台お兄さん」が登場しつつあるという。今後、灯台を軸とした新たな地域活性化の動きが広がる可能性を感じさせた。

灯台を中心に石狩エリア全体を巡ることで、「石狩」という地名から想像される以上に、北海道ならではの歴史、自然、文化の広がりを知ることができた。縄文時代の歴史から、令和の時代における「灯台お兄さん」を軸とした地域活性化の取り組みに至るまで、石狩という地域が持つ奥深さと幅の広さを実感する取材となった。

  

コミュニケーター養成プログラム受講生 R.O