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日本海洋文化総合研究所

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専門家と社会をつなぐライターに! 〜第1回 ライター育成講座レポート〜

2025年8月5日、札幌市産業振興センターでライター育成講座を開催しました。  

講師は、サイエンスライターで元Newton編集者の土屋健氏。現在も日本地質学会の広報誌「ジオルジュ」のデスクを務めるほか、ご著書も多数出版されています。そんな方に直接ご指導いただける、貴重な全4回の講座です。

第1回目となる今回のテーマは、

「1000文字までの3時間」

著作権や引用などの法的ルールに関する基礎知識から抄訳の演習など、現時点での自分の能力を確認することができる非常に中身の濃い3時間でした。

「この育成講座を通して、文章を書くための万能的なスキルを身につけてほしい」

SNSなどを通じて情報発信がカジュアルに行われる昨今。だからこそ、土屋氏のこの言葉は、文章を書き世の中に発信する者が持つ自由と責任の重さについて、改めて理解を深めるものとなりました。

以下に、講座内容の概要を報告したいと思います!

○著作権〜権利の尊重と義務

著作権の目的や定義、適用範囲についてお話いただきました。その中で一番驚いたのが、「著作権」がお金儲けや人の名誉を傷つけるツールになってしまうことがあること。

創作物への敬意はもちろん、不注意や未確認により自身が危険にさらされることのないよう、細心の注意を払う必要があることを心に刻みました。

○引用〜確かなエビデンスの収集

引用元の「情報の確かさ」を確認する重要性や、引用する際の注意点を教えていただきました。インターネット情報は便利ですが、簡単に変更・削除されてしまう実態のないものでもあります。確かさを確認しながら論立てを行う重要性を学びました。

一方、誰もが編集できるネット辞書やAIなども使い方次第。疑いの視点を持ちつつも、確かな情報に辿り着くまでの手がかりや、自分の視点を補う材料として活用できるとのこと。あくまでも自身が判断を行う主であるという前提を忘れず、活用していきたいと感じました。

○締切死守〜信頼されるライターに

ライターにとって締切を守ることがどれほど重要であるかというお話も。

「締切は死守しなければならない」と土屋氏。文章が人に読まれるまでには、編集、デザイン、印刷など様々な工程があります。第一手の遅れが、その後全体に影響を及ぼすことを強く意識しました。

○能力の把握〜計画による自己管理

講義の後半は、「抄訳」の演習。抄訳とは、原文の一部を抜き出して翻訳すること。本演習ではその練習として、制限時間内に日本語で書かれている文章を読み解き、指定文字数でまとめるという取り組みを行いました。

自分の作業速度を把握することは、自分が受注できるキャパシティの管理や、受注した仕事を確実に仕上げるために非常に重要であるとのこと。できない自分に焦りながらも現時点での立ち位置を把握することができました。

○取材方法〜欲しい情報を引き出すために

取材の仕方についての講義が行われました。取材先で確実に情報を得るためには、訪問時間への配慮はもちろん、取材相手が安心して話せる雰囲気づくり、質問の深掘り、記録の確実さが重要であることを学びました。

取材の相手は「人」。どれだけ質問項目を並べても、信頼されなければ心は開いてもらえず、真の意図や思いにたどり着くことはできません。取材に限らず日頃から、「この人になら話してもいい」と思ってもらえるような存在になれるよう心がけたいと思いました。

○自己紹介〜記者の視点で

講座終盤では、自己紹介を1〜2分で行う課題が。分野も生き方も異なる参加者の話に聞き入ってしまい、次回の宿題「講義に参加する仲間を紹介する記事の企画書作成」

に焦る羽目に…

「自己紹介につい聞き入ってしまった方、気をつけてください。」と土屋氏。ライターはいかなる時も、情報収集を止めてはならないのでした。

次回はどのような学びが待っているのか、期待が膨らむ初回講座となりました。

フェロー 石丸優希