MEMBER
研究所メンバー紹介

各分野の有識者が
海洋文化研究を旗印に集結


代表理事
池ノ上 真一
SHINICHI IKENOUE
大阪府堺市 出身
- 所属
- 北海商科大学商学部 教授
- 学位
- 博士(観光学)
- 専門
- 都市・地域計画、観光まちづくり、地域マネジメント
「技術の人間化」を理念とする芸術工学を学ぶ。竹富島や日本ナショナルトラストで観光を活用した地域づくりに従事し、北海道大学准教授を経て、現在は北海商科大学教授・日本海洋文化総合研究所代表理事。
なぜ、海洋文化というアプローチなのか。
私は、建築・都市計画、そしてまちづくりを専門とする、いわゆる工学系の人間です。「文化」と聞くと、正直なところ門外漢――むしろ「門前の小僧」といったほうが正確かもしれません。そんな私が「海洋文化」という言葉に強く惹かれ、その総合的な探究の必要性を実感するようになったきっかけがあります。それは、若い頃に3年間、暮らした沖縄・竹富島での、かけがえのない体験です。島のおじぃ・おばぁたちは、日々の暮らしのなかで、誇り高い英雄譚から、理不尽な支配や災害に立ち向かった記憶、どんな困難にもめげずに生き抜いてきた知恵と経験を、島の物語として、語り継いでくれました。私はよそ者でありながら、そこに共感し、歴史の1ページに少しでも関わらせてもらったことに、今でも感謝しています。しかし、現代社会はそのような小さな離島や沿岸地域にとって、必ずしも味方とは言えません。人口と経済が集中する都市部こそが「正解」であり、それ以外は…という無言の構造が、今も確かに存在しています。でも、忘れてはいけません。日本は島国であり、真の意味での「海洋国家」です。海と人との関係によって形成されてきたこの国にとって、離島や漁村は、その縮図とも言える存在です。そこには、有形・無形を問わず、海からの恵みと災禍に応答するなかで育まれてきた文化、洗練された知恵や技術、そして語り継がれる物語があります。実際、私の専門である都市計画やまちづくりの現場でも、港町や島嶼部といった海とともに生きる地域では、人々が共有する“ストーリー(ナラティブ)”が、新たなビジョンを生み出し、課題解決へと導いている場面に何度も出会ってきました。今、日本社会は未曾有の人口減少に直面し、気候変動やグローバル化といった地球規模の課題にも向き合っています。こうした大きな問題に対して、私たちはまず、地域の成り立ち――つまりその「根っこ」から見つめ直す必要があるのではないでしょうか。だからこそ、私は確信しています。「海と人の関係」が織りなす文化を深く掘り下げ、その現場に生きる人々と対話しながら、新しい答え、新しい可能性をともに見つけていくことが、これからの鍵になると。そしてその旅路は、決して一人では歩みきれません。自分ひとりの知見や発想では届かない地点がある。だからこそ、分野や立場を超えて集う、知のコミュニティが必要なのです。研究者、専門家、実践者――それぞれの熱を持った人たちが集い、ともに考え、語り、創り上げていく。その中から、一人では決して辿り着けない景色が見えてくる。ここから、私たちは始めます。人類の未来を見据えた、「海洋文化」と「地域」のあり方を、海とともに、育んでいくために。

JIMC 理事

石村 智
TOMO ISHIMURA
兵庫県伊丹市 出身
- 所属
- 無形文化遺産部部長/(兼)音声映像記録研究室長
- 学位
- 博士(文学)
- 専門
- 無形文化遺産、考古学
国内外において無形文化遺産の保護に資する研究に従事。また海の文化遺産についても造詣が深く、ミクロネシア連邦ナンマトル遺跡の世界遺産登録(2016年)にも携わった。

海津 ゆりえ
YURIE KAIZU
東京都港区 出身
- 所属
- 文教大学国際学部
- 学位
- 博士(農学)
- 専門
- エコツーリズム
地域プランナーを経て2007年より現職。日本のエコツーリズム黎明期より調査研究に携わる。エコツーリズム、災害復興、ジオパークなどが専門。西表島、奄美群島、八丈島、宮古市、磐梯山エリアなどがフィールド。

栗原 憲一
KENICHI KURIHARA
東京都多摩市 出身
- 所属
- 株式会社ジオ・ラボ 代表取締役
- 学位
- 博士(理学)
- 専門
- 層位・古生物学、博物館学(教育・展示)、科学コミュニケーション、ジオパーク
2003~2015年まで三笠市立博物館で学芸員(古生物学)、2015〜2019年まで北海道博物館で学芸員(博物館学)。2019年に株式会社ジオ・ラボを設立。“展示”を軸にした地域の様々なストーリーを掘り起こす活動を展開している。
JIMC 監事

野戸 早苗
SANAE NOTO
北海道知内町 出身
- 所属
- SATO行政書士法人
地方公務員として35年勤務した後、現在は行政書士法人で主に建設業許可に関わる仕事に従事。趣味はアウトドア、旅行。一般社団法人日本海洋文化総合研究所の為尽力して参ります。
JIMC 研究員

榎本 碧
MIDORI ENOMOTO
東京都 出身
- 所属
- 国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所 地域景観チーム
- 学位
- 博士(工学)
- 専門
- 景観、土木史
九州大学景観研究室特任助教を経て、2018年4月より現職。九州や北海道を主なフィールドとし、景観、土木史、歴史的土木構造物の保全等に関する研究に取り組む。

高野 宏康
HIROYASU TAKANO
石川県加賀市 出身
- 所属
- 小樽商科大学 客員研究員、地域レジリエンス株式会社 代表取締役
- 学位
- 博士(歴史民俗資料学)
- 専門
- 北前船学、近現代史、地域資源論
北前船の視点から日本の海洋文化の歴史を再発見するため、全国各地の北前船寄港地・船主集落を訪問し、調査研究を進めている。日本遺産をはじめ、北前船遺産を活かした様々なまちづくり事業に取り組んでいる。

平井 健文
TAKEFUMI HIRAI
栃木県宇都宮市 出身
- 所属
- 北海道教育大学函館校講師
- 学位
- 博士(観光学)
- 専門
- 観光社会学、地域社会学、文化遺産研究
炭鉱・鉱山の遺構を中心とする産業遺産の観光資源化プロセスを研究する。対象地は赤平市(北海道)や朝来市(兵庫県)など。近年は、criticalheritage studies の理論研究や、樺太/サハリンの炭鉱労働者や石炭産業の研究にも取り組む。
JIMC フェロー

事務局長・チーフフェロー
大内 さおり
SAORI OUCHI
北海道岩見沢市 出身
- 所属
- フリーランス
- 学位
- 学士(経済学)
- 専門
- 地域振興(食・観光・産学官金連携)
地方銀行で地域振興に従事。大学・行政・金融機関の協働による地域の多彩な可能性の「種」を事業としての価値創造に取り組んだ。支店長を経て転職し、観光地・ニセコで実践経験を積み2024年に独立。

石丸 優希
YUKI ISHIMARU
北海道札幌市 出身
- 所属
- うさぎ設計
- 学位
- 修士(建築都市計画学)
- 専門
- コミュニティの懐に入ることから始めるまちづくり
北海道大学大学院修了後、北海道庁で建築技術職に従事。結婚を機に退職し、引越し先の山梨ではオーガニックファームのイベントサポートや古民家コミュニティスペースの管理に携わる。現在、札幌市で子育てをしながら都市計画やまちづくりのプロジェクトに従事。

小坂 典子
NORIKO KOSAKA
北海道旭川市 出身
- 所属
- 公益財団法人日本交通公社 副主任研究員
- 学位
- 修士(観光学)
- 専門
- 持続可能な観光、観光地域づくり
(株)JTB総合研究所、(株)Pioneerworkを経て現職。全国の離島半島地域や山岳地域等での観光地域づくりや事業構築支援に従事してきた。

其力干(チリガン)
CHIRIGAN
中国内モンゴル自治区 出身
- 所属
- 北海商科大学大学院 商科研究科
- 学位
- 学部(観光学)
- 専門
- 観光学
持続可能な観光マネジメントを学び、CBTを通じた「持続可能な観光モデル構築」をテーマに研究中。「観光で地方を元気に」が目標。