
2025年9月9日、第4回ライター育成講座が開催されました。講師は引き続き、サイエンスライターで元Newton編集者の土屋健氏です。
最終回となる今回は、来春発行予定の「海と灯台学ジャーナル」と「海ノ民話学ジャーナル」に向けた記事企画会議。受講者は1000文字、2000文字、3000文字の記事企画書をそれぞれ準備し、発表に臨みました。
発表は2〜3分。その後の質疑応答には時間制限がなく、全員が納得いくまで意見を交わしました。土屋氏がNewton在籍時には、なんと丸一日かけて企画会議を行なったこともあるとか。それだけ、企画を世に送り出すということを、その場にいる全員が真剣に考えているのだと感じました。
今回もメンバーからの質問やアイディア、土屋氏からのアドバイスにより、さまざまな学びと気づきがありました。
○テーマの定め方
記事のテーマを定める際のポイントについて学びました。取り上げる題材が定まってきたら、その題材を扱う理由を明確にします。国内やある分野の中での位置付けを明確にすることが必要です。
加えて、その題材を今回取り上げる理由を明確にします。初めての試みということであれば、その奮闘に焦点が当てられますし、何十年目ということであれば、その継続から生まれた成果を切り口にできます。さらに、着目点や切り口を吟味し、ライター独自の視点を加えることで、他にはない記事になることを学びました。
こうしたひとつひとつの整理が、読者に「納得感」と「安心感」を与え、記事を最後まで読み進めてもらえる基盤になるのだと実感しました。
○絵面のイメージ
文章だけでは、読みにくい記事になります。3000文字記事は特に、企画段階から用意できそうな写真や図表をイメージすることが重要であると学びました。
確かに、新聞や雑誌などを読む際も、タイトルや小見出し、そして写真を見て、面白そうかも…と読み進めますし、読み進める中でも具体的にイメージをしやすいなと、自身の経験を振り返りました。
○記事のスタイル
読み物には、さまざまなスタイルがあります。例えばエッセイなどは、書き手の主観が入り、その世界に入り込めるでしょう。しかしこの場合、書き手が著名人であることが、記事として成立するための条件であると学びました。
大谷翔平が行く〇〇灯台…となれば、ファンは手に取ってくれるかもしれません。伊坂幸太郎が解釈する海ノ民話〇〇…となれば、その世界観に浸りたいと読み手があるでしょう。しかし、名もなきライターが書くには、少しインパクトが足りないのです。
また、紀行文というものもあります。これは、読者がその場を訪れた気にさせ、行ってみたいと思わせることができるもの。読みながら旅行プランを練ってもらえるような情報も重要になるということでした。
○取材先の探し方
取材する相手として誰を挙げるか。これも実際の取材をイメージしながら行うことが重要です。取材先に訪問したはいいが、その内容については専門外であった…ということは避けなければなりません。
学会論文や書籍はもちろん、ホームページやSNSも利用しながら、取材予定者がどのようなことに取り組み、考えているのか。念入りに情報収集を行うことが重要であると学びました。
「海洋文化を知ってください!」と声を大にしても、興味のない方には届きにくいものです。しかし、文章の力で多様な切り口を提示できれば、思わず読み進めてしまう読者がいるかもしれません。海洋文化との接点が、誰かの中に芽生えるといいなと思います。
これにて、全4回のライター講座が、全て終了しました。
これから採用された企画をもとに、それぞれが取材と執筆を進めます。
果たしてどんなジャーナルができあがるのか…!? お楽しみに!
フェロー 石丸優希